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トラネキサム酸とは?美容効果や摂取時の注意点を紹介

トラネキサム酸は止血剤や湿疹の薬に使われている成分です。1990年代頃に肌への効果が注目され、現在ではシミの予防・改善、肝斑の治療薬にも使われています。安全性が高く、美容効果を得やすい点がメリットです。
とはいえ、ほかの病気の薬との飲み合わせや、体質によっては副作用が生じるケースもあるため事前によく確認しておきしましょう。

本記事では、トラネキサム酸とは何か、美容効果や摂取時の注意点を解説します。

トラネキサム酸とは?


トラネキサム酸とは、人工的に合成されたアミノ酸の一種で、抗炎症作用や止血作用がある薬です。体内にある「プラスミン」という血液を溶かしたり、アレルギー反応を引き起こしたりする物質の働きを抑える効果があります。そのため、「抗プラスミン薬」と呼ばれることもあります。
湿疹やじんましんの治療薬、止血剤、アレルギーの治療薬など、さまざまな医薬品に使われる有名な成分で、安全性が高い点も特徴です。

1990年代から肌への効果が確認される

本来は医薬品として使われていたトラネキサム酸ですが、1990年代に入ると肌への効果が認められるようになります。
1995年には肌荒れを防止する成分として、また、2002年にはシミに対しても効果が期待できる成分として、いずれも厚生労働省の認可を得ています。

これらの流れから、現在ではトラネキサム酸が用いられるのは医薬品だけではなくなっています。医薬部外品であっても配合されるようになりました。美容クリニックでは肝斑の治療薬として錠剤が処方されたり、イオン導入の施術などで使われたりすることもあります。

トラネキサム酸による美容効果


トラネキサム酸にはシミや色素沈着の原因となる、メラニン色素の生成を抑える美白効果があります。美容効果の中でもシミや色素沈着の改善、肝斑の治療に効果が期待できます。トラネキサム酸の効果を解説します。

シミの予防・シミの治療

シミは、紫外線から肌を守る過程で生成されるメラニンの蓄積が主な原因です。紫外線を浴びると、メラニンの生成と排出のバランスが崩れ、排出されなかったメラニンの蓄積により、目に見えるシミへと変化します。

トラネキサム酸にはプラスミンやプロスタグランジンといった、メラノサイトの活性化に関与する物質の働きを抑える効果があります。メラノサイトとは、シミや色素沈着の原因となるメラニンを生成する細胞のことです。
このため、トラネキサム酸を使えばメラニンの生成量自体が減り、蓄積するよりも新陳代謝が早くなるため、シミの予防や改善効果が期待できます。

肝斑の治療

肝斑もシミの一種ではあるものの、通常のシミ(老人性色素斑)とは発生原因や対処法が異なるため注意しましょう。

そもそも肝斑とは、30~40代女性の発症が多いシミのことです。頬骨に沿って左右対称に表れることが多く、女性ホルモンの乱れが発症の要因と考えられています。
肝斑の治療にはトラネキサム酸の飲み薬が有効です。通常のシミへの作用機構と同様に、メラノサイトの活性を促すプラスミンやプロスタグランジンの働きが抑えられるため、肝斑にも効果が期待できます。

なお、肝斑は通常のシミとは異なり、レーザー治療により悪化することがあります。その点からも、治療方法の検討ではトラネキサム酸の服用が安全かつ効果的です。

色素沈着の改善

トラネキサム酸には、メラニン色素の生成を根本から抑える働きがあるため、シミや肝斑だけでなく、ソバカスや色素沈着全般にも効果が期待できます。
たとえば、ニキビ跡の黒ずみのような炎症性色素沈着や、強い摩擦により発生する摩擦性黒皮症などです。

抗炎症作用

プラスミンは炎症やアレルギーにも関わるため、トラネキサム酸の摂取により肌の赤みや腫れ、炎症を起こしたニキビの改善も期待できます。また、炎症が原因の色素沈着の予防にも効果的です。ほかにも、湿疹やじん麻疹などの皮膚症状にも処方されます。

トラネキサム酸の薬としての効果


トラネキサム酸は風邪薬や歯磨き粉など、日常的に利用する製品にも使われています。美容目的で摂取するときは過剰摂取にならないためにも、ほかにどのような薬に入っているか確認しておきましょう。トラネキサム酸の薬としての効果や、作用機構を利用している製品を紹介します。

止血効果

トラネキサム酸が活動を抑制するプラスミンには、血栓を溶かす作用があります。そのため、怪我の早期の止血を目的として、トラネキサム酸を投与するケースがあります。
また、トラネキサム酸は産婦人科で使われることも多く、婦人科疾患やホルモン異常などの理由による、過多月経の治療薬として有名です。

抗炎症効果

トラネキサム酸の抗炎症作用は、のどの痛みや口角炎の治療にも使われています。そのため、市販の風邪薬や歯磨き粉などにも配合されています。

トラネキサム酸を取り入れる方法


シミや肝斑など、肌への効果を得るためにトラネキサム酸を取り入れる方法は、大きく分けると、内服・塗布・注射の3つがあります。それぞれ、入手方法と合わせて解説します。

1. 錠剤を内服する

トラネキサム酸は人工的に合成した成分のため、食品や飲料などからは摂取できません。そのため、経口摂取したいときは内服薬の用意をしなければいけません。摂取方法は、1日3回に分けて飲むのが一般的です。
内服薬には処方薬と市販薬の2つがあり、それぞれ入手方法やトラネキサム酸の含有量に違いがあります。

処方薬

処方薬は美容外科や皮膚科などの医療機関で、医師の診断を受けてから処方されます。
処方薬では市販薬よりトラネキサム酸の含有量が多く、効果を実感しやすい点がメリットです。医院により異なるものの、750~2,000mgの範囲で含有されています。

なお、デメリットとしては、シミの治療のために処方する場合、基本的に保険適用外となる点です。金額が心配なときは、先に値段を聞いておくとよいでしょう。また、高濃度だと副作用の心配もあるため、医師と十分に相談し、ほかのシミの治療方法も検討したうえで処方してもらいましょう。

市販薬

トラネキサム酸はドラッグストアなどで、市販薬としても取り扱われています。市販薬といっても、「要指導医薬品」「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」の4区分があり、このうち要指導医薬品と第1類医薬品は薬剤師でなければ販売できず、使用方法の説明や情報提供が義務付けられています。

第2類医薬品と第3類医薬品は、薬剤師または登録販売者の対応となります。なお、第2類医薬品のみ情報提供は努力義務となり、第3類医薬品には特別な定めはありません。

市販薬のトラネキサム酸は第1類医薬品に分類されるものもあるため、購入するときは薬剤師から説明を受けましょう。
市販薬は手軽に購入できる点がメリットです。反面、トラネキサム酸の含有量は750mgが上限値のため、処方薬と比べ少ない点に注意しましょう。

2. 肌に塗布する

トラネキサム酸は、肌に直接塗ることでもシミの予防効果が期待できます。なお、肌に塗布する方法にも、市販品を使う方法と、美容クリニックで施術を受ける方法の2つがあります。

市販のスキンケア製品を使う

化粧水・美容液・乳液・クリームなど、市販のスキンケア製品にもトラネキサム酸が含まれたものは多くあります。スキンケア製品は手軽に日々のシミケアに取り入れられるだけでなく、錠剤の利用が難しい人にもおすすめの方法です。
また、錠剤とスキンケア製品を併用すれば、より高い効果も期待できます。

トラネキサム酸配合のスキンケア製品は価格帯も低価格から高価格までさまざまなものがあります。また、ほかにも美容効果のある成分を配合しているものが多いため、有効成分や添加物などもよく確認して選ぶとよいでしょう。

美容クリニックでイオン導入を受ける

美容外科や美容皮膚科などのクリニックでは、トラネキサム酸を使ったイオン導入の施術を受けられることもあります。イオン導入とは、そのままの状態では浸透しにくい成分を、専用の機械で微弱な電流を流しイオン化することで肌に浸透しやすくする方法です。
イオン導入用のマシンも医療機関向けのものを使うため、家庭用の美顔器以上の効果が期待できます。

美容クリニックでは、ケミカルピーリングとイオン導入を合わせて行ったり、ビタミンCのイオン導入を追加したりなど、複数の方法を組み合わせてシミにアプローチできる点も魅力です。

3. 肌に注射する

美容目的で行うトラネキサム酸の注射も、クリニックで受けられる施術です。主に水光注射という方法を使います。

水光注射とは、肌の真皮の浅い層に、美容効果の高い薬剤を直接注射する方法です。これにより、乾燥や小じわの改善、コラーゲンの増生など、肌の改善を促します。
注射する薬剤にトラネキサム酸を配合すれば、肝斑のやくすみの改善などの効果も期待できます。

なお、注射といっても痛みはほとんどなく、短時間で終わる点がメリットです。しかし、施術費用はほかのトラネキサム酸の摂取方法と比べ高額になります。医師と相談のうえ、決定するとよいでしょう。

トラネキサム酸を取るときの注意点


トラネキサム酸は副作用の心配が少なく、安全性の高い成分ではあるものの、ほかの薬との飲み合わせや、病気・心身の状態によっては注意が必要な人もいます。また、医薬品は医師に、市販品は薬剤師に相談のうえ購入しましょう。

医薬品や薬剤師に相談のうえ購入する

医薬品のトラネキサム酸錠は医師の処方が必要です。市販薬も注意点があるため、薬剤師の説明を受けてから購入します。処方、または購入したトラネキサム酸錠は、用法・用量を守り正しく服用しましょう。
もし、途中で副作用などがあれば、直ちに服用を止めて、処方されたクリニック、または購入店舗の薬剤師に相談します。

なお、トラネキサム酸錠は海外通販や個人輸入などでも購入できるものの、安全性が確かではないため止めましょう。

ほかの薬を服用しているときは医師に相談する

トラネキサム酸は薬との飲み合わせにも注意が必要です。
風邪薬やのどの痛みを抑える薬、口内炎を抑える薬など、これらの市販薬の中には、抗炎症成分としてトラネキサム酸が含まれていることがあります。そのため、美容目的の錠剤と併用すると過剰摂取になる恐れがあるため注意しましょう。

また、医療機関によっては低用量ピルとトラネキサム酸の併用を禁止していることもあります。理由として、低用量ピルを服用すると血栓症のリスクが高まるためです。トラネキサム酸は止血剤として使われるため、血栓があると溶けるのが遅れる作用があります。
以上の作用から、念のため服用が禁止されることもあります。

特定の病気や治療を行っている人も事前に医師に確認する

トラネキサム酸は止血作用があることから、以下の病気や症状、身体の状態の人は医薬品・市販品問わず、服用の前に医師への相談が必要です。

・今までに血栓症を発症したことがある
・血栓症のリスクが高い病気に罹っている
・家族に血栓症の既往歴がある人がいる
・術後などで寝た状態が続く人
・圧迫止血の処置を受けている人
・腎不全の症状が見受けられる人
・妊娠中、授乳中の人

上記に該当しない場合でも、何か不安な点があれば事前に医師に相談し、安全を確認してから摂取することが大切です。

トラネキサム酸は副作用が出ることもある

トラネキサム酸は安全性が高い成分であるとはいえ、副作用がまったくない訳ではありません。トラネキサム酸錠の服用により考えられる副作用には以下があります。

・皮膚の痒み・湿疹
・食欲不振
・胸焼け
・吐き気・嘔吐
・下痢
・めまい
・過敏症
・眠気

これらの副作用が表れたら直ちに服用を中止し、医師に相談してください。副作用は医薬品だけでなく、市販薬でも出る恐れがあります。
なお、「白髪が増える」との説もあるものの、科学的根拠がある訳ではないため、過度に心配する必要はありません。

もし、副作用のリスクが心配であったり、体質的に錠剤を服用できなかったりするときは、化粧品を使うとよいでしょう。化粧品であれば、肌に塗布するだけのため、血中に取り込まれる濃度は極めて低くなります。

トラネキサム酸は効果が出るまで時間がかかることがある

トラネキサム酸の効果が表れるまでの時間は、処方剤の含有量によっても異なります。そのため、一概に時間を断定できるものではないものの、2~3カ月程度、継続した摂取が必要です。
また、治療期間が長いほど効果が出やすいこともわかっています。

そのため、数週間の服用で効果がなかったからといって、途中で止めないように注意が必要です。副作用などの異常がなければ処方された分はすべて飲み切り、医師と相談したうえで継続するか判断しましょう。

服用を止めるとシミが戻る可能性がある

トラネキサム酸の服用によりメラニンの活性化を抑え、シミや肝斑を防ぎます。そのため、服用を止めればメラニンができやすい状態に戻ってしまい、シミや肝斑も戻る可能性は否めません。

トラネキサム酸配合化粧品の注意点


トラネキサム酸は化粧品から肌に入れることもできるものの、錠剤と比べると美容効果は低くなります。とくに、シミなどの予防は期待できるものの、治療や改善効果はあまり期待できません。
とはいえ、予防効果がないわけではないため、日頃のスキンケアに取り入れ、シミを防げるようにしましょう。

シミ対策のために日頃から気を付けたいポイント


トラネキサム酸はシミの改善効果があるとはいえ、日頃の生活で一切メラニン対策をしていないのであれば、十分な効果を得るのに時間がかかる恐れもあります。シミ対策のために、日頃から気を付けたいポイントを紹介します。

紫外線対策をする

紫外線はメラニンの生成を促しシミを作るだけでなく、シワなどの肌老化、皮膚がんなどの病気の原因にもなります。なお、夏だけでなく一年を通して地上に降り注ぐため、日焼け止めや帽子で防ぐことが大切です。

正しい洗顔をする

肌を擦るように洗顔をすると、摩擦の影響でメラニンが生じ黒ずみなどの原因になります。また、肌のバリア機能も低下するため、石鹸をよく泡立て、泡のクッション性を利用し肌を洗うようにしましょう。
洗顔後はぬるつきがなくなるまでよくすすぎ、スキンケアで潤いをキープします。

規則正しい生活をする

食事や睡眠、運動など、生活習慣が乱れると肌のターンオーバーも乱れます。栄養バランスのよい食事を取る、十分な睡眠時間を確保する、適度に運動するなど、規則正しい生活を心がけましょう。生活が整うことで、ストレスにも対処しやすくなります。

肌の悩みは美容クリニックに相談する

一口にシミといっても、紫外線が原因のものだけでなく、女性ホルモンが影響する肝斑や、ニキビが原因のシミもあります。また、これらの要因が複合していることもあります。
そのため、正しい知識がない状態で対処すると、さらにシミや肌荒れが悪化する可能性も否めません。肌に悩みがあるときは、自分で対処する前に専門家に相談するのがおすすめです。

トラネキサム酸で美容効果が得られないときは専門家に相談しよう!


以上のように、トラネキサム酸はシミ全般に効果のある治療薬です。ただし、市販薬では含有量も少ないため、思うような効果が得られないケースもあります。

トラネキサム酸が配合された化粧品や市販薬を使っても思うような効果が得られないときは、美容外科などの専門家に相談しましょう。
専門家に症状を診てもらうことで、より安全で効果的な治療方法を見つけられます。

まとめ

トラネキサム酸とは、人工的に合成されたアミノ酸の一種で、メラニンの生成に関与する物質の活性を抑える効果があります。このため、シミや肝斑だけでなく、色素沈着全般に高い効果が期待できます。

なお、トラネキサム酸は市販薬でも購入できるものの、薬の飲み合わせや体質などを考慮する必要があるため、美容専門のクリニックで処方してもらうほうが安全です。シミに悩んでいるときは、まずは専門家に相談しましょう。

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