レチノールとは?肌への効果や使用上の注意点を詳しく解説
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目次
肌トラブルに対して、効果が期待されている成分はいくつもあります。そのような肌トラブル対策になる成分の中でも、注目され、多くの美容品に用いられている成分がレチノールです。
レチノールの名前を聞いたことがあってもどのような成分なのかを把握している人は少ないかもしれません。例えば、レチノールを使用するとシワ・たるみの改善やシミの改善などが期待できます。この記事では、レチノールとはどのようなものかの概要や期待できる肌効果、使用上の注意点、効果を高めるためのポイントなどを詳しく解説します。
最近シワやたるみが気になる、シミが目立ってきている気がするといった人はぜひチェックしてみてください。
レチノールとは?
私たちの身体に欠かせない栄養素がビタミンです。ビタミンにはビタミンB、ビタミンCなどさまざまな種類があり、レチノールとはビタミンAの一種です。
ビタミンにさまざまな種類があるように、レチノールにもさまざまな種類があります。レチノールには約2,000種を超えるほどの誘導体が存在しているとされ、レチノイドと総称されます。
レチノールによって活性酸素を抑えることも可能です。活性酸素は、体内に取り入れた酸素の数%が変化したものです。活性酸素が過剰に発生すると、細胞を傷つけてしまいます。レチノールであれば、このような活性酸素の活動を抑制してくれます。
トレチノインとの違い
レチノールとトレチノインとの違いを解説します。レチノールの構造を変化させたのがトレチノインです。先述したレチノールが美容アイテムに取り入れられているのに対して、トレチノインは効果が強いため、医療用医薬品への使用しか認められていません。
効果の強さ以外にも2つの成分の違いは次のとおりです。
項目 | レチノール | トレチノイン |
---|---|---|
使用目的 | 加齢や紫外線の影響を受けた肌荒れの改善 | 皮脂の過剰分泌を抑制、ニキビの治療 |
入手する方法 | 薬局やECサイトで購入 | 医療機関からの処方 |
懸念される副作用 | 肌の乾燥、肌の赤みやかゆみ | 肌の赤み紅斑、かゆみなどのレチノイド皮膚炎 |
誘導体とは?
レチノールに限らず、多くの化粧品の成分として「ビタミン〇誘導体」という言葉を目にします。この誘導体とは有機化合物のベースはそのままで、一部分を変化させたものです。つまり、ビタミンA誘導体、ビタミンC誘導体などはビタミンAやビタミンCなどが少し変化した物質となります。
レチノールに期待できる肌効果
レチノールに対して期待できる具体的な肌効果について解説します。
レチノールに期待できる肌効果は以下のとおりです。
・シワ・たるみの改善
・シミの改善
・皮脂を抑えてニキビの改善
・毛穴色素沈着の改善
・目元のハリ改善
シワ・たるみの改善
レチノールが有用とされているのがシワやたるみの改善です。肌にシワやたるみが発生してしまう原因はいくつも考えられます。しかし、特に大きな要因と考えられているのが、紫外線と加齢です。
肌のハリを保つ物質であるコラーゲンやエラスチンは、本来であれば肌に存在しています。しかし、加齢や紫外線の影響によって減少していき、シワやたるみにつながります。
このような状況に対して、コラーゲンやエラスチンの生成を促してくれるのがレチノールです。コラーゲンやエラスチンの生成が促進されることで、シワやたるみの改善が期待できるでしょう。
シミの改善
レチノールはシミの改善にも有用とされています。レチノールも含まれるビタミンAには肌の代謝、つまりターンオーバーを活性化させる効果が期待できるからです。ターンオーバーとは、肌の表皮が4週間ほどかけて新しく生まれ変わる現象のことを指します。
肌にシミができるのはメラニンが蓄積されることが原因です。肌の新陳代謝が活発であれば、新しい肌に生まれ変わっていくため、シミの発生を防げます。しかし、ターンオーバーが正常に行われていない状態では、シミの発生を防ぐことはできません。
ビタミンAの一種であるレチノールであればターンオーバーを促してくれるため、シミの改善が期待できます。
皮脂を抑えてニキビの改善
レチノールには皮脂を抑制し、ニキビを改善する効果も期待できます。皮脂が過剰に分泌されると発生するのが毛穴の詰まりです。毛穴の詰まりを放置すると、皮脂を好むアクネ菌(ニキビ菌)の繁殖が進んでいってしまいます。その結果、ニキビができてしまうのです。
レチノールによって皮脂の発生を抑えられれば、ニキビの発生も抑止できるでしょう。
毛穴色素沈着の改善
レチノールは肌の代謝を進めるため、シミだけでなく、毛穴の色素沈着を改善するのにも役立ちます。
毛穴の黒ずみも肌の代謝がうまくいかないことで、メラニンが排出されず色素が沈着してしまっている状態です。そのため、肌の代謝が活性化し、促進されれば、毛穴の黒ずみの改善につながるでしょう。
目元のハリ改善
レチノールは目元や目の周りのハリ改善にも有用とされています。目元を含め、肌のハリに欠かせないのがヒアルロン酸で、レチノールはこの成分の合成を促進させます。
ヒアルロン酸は角質の水分を保ってくれる成分です。ヒアルロン酸が生成されれば、乾燥する傾向にある目元にハリを生み出してくれます。
レチノールを使うときの注意点
レチノールはシワ・たるみやシミの改善、皮脂抑制などの効果が期待できます。しかし、レチノールを使うときには注意が必要な点もあります。
ここでは次のようなレチノール使用時の注意点について解説します。
・レチノイド反応による皮剥け・赤み・かゆみ
・ターンオーバーによる肌の乾燥
・ハイドロキノンとの併用
・ビタミンCとの併用
・妊娠中の使用
・使用するタイミング
・敏感肌への使用
・改善したい症状で濃度が異なる
レチノイド反応による皮剥け・赤み・かゆみ
レチノイド反応とは、A反応の名でも知られている反応になります。新陳代謝が乱れている肌はビタミンAが不足している状態です。このような肌にレチノールを含んだ美容品を塗布すれば、ターンオーバーが促進され、一時的ではありますが次のような症状が現れることがあります。
・肌の乾燥
・皮剥け
・赤み
・かゆみ
レチノイド反応が現れる可能性は低いとされています。それでも症状が現れた場合には心配してしまうかもしれません。しかし、アレルギーや毒性の反応ではないため、自然と症状は消えていきます。万が一、症状が出てしまった場合は、保湿に加えて、化粧品の使用回数を減らしましょう。
一般的にレチノイド反応が出た場合、症状が長引くことはなく徐々に緩和されていくとされています。しかし、症状が続くようであれば医療機関に相談することが大切です。
ターンオーバーによる肌の乾燥
ターンオーバーが活発になると、肌が乾燥してしまいます。なぜなら、ターンオーバーが早すぎることで、未熟な細胞が外気にさらされてしまうからです。乾燥とは、つまり肌の水分量が減少している状態です。その結果、肌に備わっているバリア機能が低下してしまうため、肌のトラブルにつながりかねません。
ハイドロキノンとの併用
肌の美白効果を期待して、ハイドロキノンを成分に含んだ化粧品を使用している人もいるかもしれません。しかし、ハイドロキノンとレチノールとの併用は避けるようにしましょう。ハイドロキノンは短期的に肌の症状改善を目指すのに対して、レチノールは長期的に使用する成分で、両者は相性がよくないとされています。そのため、どちらも使用すると炎症を起こしてしまうかもしれません。
もし、ハイドロキノンとビタミンA誘導体を併用するのであれば、レチノールではなく、トレチノインを使用しましょう。
ビタミンCとの併用
レチノールとビタミンCとの併用にも注意が必要です。ビタミンAであるレチノールと、ビタミンCは適正なpHに差があります。pHとは水溶液が酸性かアルカリ性かを示す単位です。
ビタミンAは適正なpHが5.5~7ほどとされているのに対して、ビタミンCは4~5ほどが適正とされています。もしpHが4~5ほどの化粧品を使用すれば、肌はpH値を下げる一方で、pHが5~7ほどの化粧品を使用した場合は肌のpH値は上がります。両者は効果が異なるため、同時に使用してもそれぞれに期待する効果を引き出せません。
ビタミンCとレチノールを併用するのであれば、タイミングをずらしましょう。先にビタミンCを塗り、その後レチノールを塗るのが理想的な手順と言えます。なお、ビタミンCを塗った後には乳液を使用するのがおすすめです。ビタミンCが苦手としているのが油分です。そのため、乳液を塗ることでビタミンCは肌のより深い部分に浸透しようとします。また、乳液を塗ることで最後に塗るレチノールの刺激を抑えることも可能です。
妊娠中の使用
一般的に妊娠中の人はビタミンAの過剰摂取は避けた方がよいとされています。しかし、これは食事で摂取するケースです。レチノールを使用した化粧品を肌に塗る程度であれば使用可能です。
妊娠中にレチノールを含んだ化粧品を使用する際は、予想できない症状が出る可能性があることを把握しておきましょう。妊娠中にはさまざまな肌の変化が現れます。例えば妊娠すると新陳代謝が活発になり、皮脂が分泌されやすくなります。
このような妊娠中の肌の変化によって、レチノールを調合している化粧品を使用した際に思わぬ肌トラブルにつながるかもしれません。肌トラブルが発生した場合は使用を中止し、症状に改善が見られなければ医師に相談しましょう。
使用するタイミング
レチノールを使用するタイミングも注意が必要です。レチノールは繊細な成分で、紫外線によって劣化してしまう難点があります。そのため、朝や日中に使用すると、十分な効果が得られないかもしれません。レチノール化粧品の使用は紫外線の少ない夜間がおすすめです。
また、レチノールは熱にも弱いため、化粧品を使い始めたら使い切るようにしましょう。
敏感肌への使用
レチノールを含んだ化粧品は肌が敏感な人であっても使用できます。しかし、レチノールは比較的刺激の強い成分のため、敏感肌の人が使用する場合は、合成界面活性剤のように刺激の強い添加物が含まれていないかを確認しましょう。
さらに、使用前には以下の手順でパッチテストの実施が欠かせません。
・耳の後ろに少量のレチノールを塗る
・30分ほどそのままにして赤み・かゆみがないかを確認する
・肌にトラブルが発生していなければ1日様子を見る
・1日経過してもトラブルがなければ顔に塗る
パッチテスト実施以外にも肌がレチノールに慣れるまでは使用頻度を抑える、目元への使用を避けるなどのポイントを押さえておきましょう。目元は他の部分よりも皮膚が薄くなっているため、敏感肌の人では影響を受けてしまう可能性があります。
改善したい症状で濃度が異なる
レチノールはさまざまな肌トラブルの改善をサポートしてくれる成分です。しかし、どれだけの濃度が必要かは、どのような状況を改善したいかで異なります。例えば、色素が沈着したことによるシミやシワの改善には、レチノール濃度が0.25~2%ほどの化粧品の使用が適しているとされています。どれだけの濃度が必要かは専門家である美容外科などに相談してみましょう。
レチノールの効果を高めるためのポイント
レチノールによるシワ、たるみ、シミの改善などを期待している場合、次のようなポイントを押さえておきましょう。
・保湿ケアを念入りに行う
・紫外線対策に注力する
・食事でもビタミンAを意識する
保湿ケアを念入りに行う
レチノールは肌の代謝を活発化させます。そのため、レチノールを使用し始めてから肌の乾燥を感じるようになったというケースが考えられるでしょう。
レチノールを使用した際は、肌が乾いてしまうのを防ぐために、念入りな保湿ケアが欠かせません。肌バリアの機能低下によるトラブルを防止するためにも、十分な保湿を心掛けましょう。
紫外線対策に注力する
レチノールは紫外線と相性が悪いとされています。レチノールを成分として用いた化粧品を使用する際は、日焼け止めの使用はもちろん、日傘や帽子を使うなど、紫外線対策に注力しましょう。
また、レチノールにとって大敵である紫外線を避けるという点では、日があたる場所での化粧品の保管を避けるのがおすすめです。
食事でもビタミンAを意識する
肌トラブルを避けるためには、レチノールだけでなく食事でもビタミンAを摂取することを心掛けましょう。
ビタミンAを豊富に含んだ食べ物として以下が挙げられます。
・にんじん
・モロヘイヤ
・豚のレバー
・鶏のレバー
ビタミンAの効果は健康的な肌を維持するだけではありません。ビタミンAは視力にも関係します。ビタミンAが不足してしまうと、視力の低下や暗いところで見えにくくなる夜盲症になりかねません。また、ビタミンAが不足すると感染症へのリスクも懸念されます。
このように肌も含む全身の健康維持のためにも、食事でもビタミンAを摂取しましょう。
なお、ビタミンAに限らず適正な量の摂取が推奨されます。過剰に摂取してしまうと身体に悪影響を及ぼしかねません。例えば多量のビタミンAを急に摂取すると、お腹の痛みや吐き気など、めまいなどの症状が現れる可能性があります。
一方、慢性的にビタミンAを過剰摂取している場合、関節痛や食欲不振による体重の減少などにつながる恐れがあります。
レチノールの効果が出ないときは専門家に相談しよう!
レチノールを含む化粧品を使用していても効果を実感できないケースもあります。「効果が出ているな」と実感できるまでには個人差がありますが、肌ケア
の効果を実感できるまでには数週間から数カ月を要するとされています。
しかし、人によってはなかなか効果が出ないこともあるでしょう。例えば、配合濃度によっては効果を実感できないかもしれません。濃度が低いことなどにより、肌に変化が現れていないことが考えられます。
もしレチノールを使用しているのに思ったような効果が出ないと悩んでいる場合は、美容外科などの専門家に相談しましょう。専門家に状況を相談すれば適切な対応を教えてもらえます。
まとめ
ビタミンAの一種であるレチノールを成分として含んだ化粧品を使用することで、シワ・たるみの改善やシミの改善などが期待できます。
しかし、人によってはレチノイド反応による皮剥けや赤みなどを感じるかもしれません。レチノイド反応が長引くようであれば、医療機関に相談することが大切です。
また、効果をより高めるには、保湿、紫外線対策を丁寧に行いましょう。レチノールの効果を感じるには数カ月かかる可能性があります。しかし、なかなか効果を感じないのであれば、美容外科のような専門家に相談しましょう。
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