僧帽筋とは?盛り上がりの原因やなくす方法を紹介
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目次
長時間同じ姿勢を続けていたり、骨盤が歪んだりすると、僧帽筋が張ったり、盛り上がったりすることがあります。僧帽筋の張りや盛り上がりを放置していると、女性にとって見た目が悪くなるだけでなく、日常生活にも支障を来す原因となります。僧帽筋の張りや盛り上がりが気になるのなら、原因を追求し、然るべき対策を講じましょう。
今回は僧帽筋の概要や、僧帽筋が盛り上がる原因、僧帽筋が盛り上がった場合のデメリットと改善のメリット、僧帽筋の盛り上がりをなくす方法について解説します。
僧帽筋とは?
僧帽筋とは、首の根元から肩、背中の上部にかけてひし形状につながっている大きな筋肉のことです。僧帽筋はさらに上部・中部・下部の3つに分かれており、それぞれ担っている役割が異なります。
上部僧帽筋は、首から肩にかけて広がっている筋肉です。肩甲骨を後ろに下げたり上げたりする動作などに関与しています。
中部僧帽筋は、肩から肩甲骨の上にかけて広がっている筋肉です。こちらは、肩甲骨を内側に寄せる動作などに関与しています。
下部僧帽筋は肩甲骨から背中にかけて、細くなりながら広がっている筋肉です。肩甲骨を下げたり、腕を上げたりする動作に関与しています。
人間は、上部・中部・下部の僧帽筋を連動させることで、肩をすくめる、首を動かす、ドアなどを引く、棚の上にあるものを取る、床にあるものを拾うなど、さまざまな動作を行っています。
僧帽筋が盛り上がってしまう原因
首から肩、背中にかけてのラインは、正常であればなだらかな曲線を描いています。しかし、日常生活でさまざまな要因が重なると、僧帽筋が徐々に凝り固まってしまい、本来の曲線が歪んでしまいがちです。
筋肉は血液やリンパ液を全身に送るポンプのような役割を担っているため、僧帽筋が凝ると痛みや違和感が出始めるほか、老廃物や余分な水分が溜まって局所的に盛り上がってしまう場合があります。
僧帽筋が盛り上がる原因は複数あるので、首や肩、背中まわりの張りや盛り上がりが気になるときは以下の条件に該当するかどうかチェックしてみましょう。
姿勢の悪さ
デスクワークやスマートフォンの使用を長時間続けていると、肩が内側に入る巻き肩や、背中が丸まっている猫背になりやすくなります。巻き肩や猫背は、筋肉が凝り固まる原因です。なぜなら、どちらの姿勢も肩甲骨が広がった状態を作り出し、その結果、肩甲骨の間にある僧帽筋を緊張させてしまうからです。
近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リモートワークやテレワーク、オンライン上でのやり取りが増加し、パソコンやスマートフォンの利用時間も延びている傾向にあります。
これまで僧帽筋の盛り上がりとは無縁だった方も、コリや張りを感じやすくなっているため、日頃の姿勢には注意が必要です。
慢性的な運動不足
筋肉は使わないとどんどん硬くなり、張りや盛り上がりが生じやすくなります。中でも僧帽筋は足腰に比べると日常生活で活発に動かすシーンが少ないため、運動不足の影響を受けやすい傾向にあります。特にデスクワークが主流の人は首や肩、背中などをほとんど動かさずに作業するため、僧帽筋が衰えがちです。
僧帽筋が弱ると正しい姿勢を維持するのが難しくなり、前述した猫背や巻き肩の要因にもなります。
ストレス
ストレスは、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンの分泌量を増加させる要因です。コルチゾールは副腎皮質ホルモンの一種で、交感神経を刺激し、脈拍や血圧を上昇させて脳を覚醒させ、ストレスに備えるのが主な役割です。
しかし、コルチゾールには筋肉中のたんぱく質を分解する作用があるため、コルチゾールの濃度が高くなると僧帽筋が衰える原因となります。
また、ストレスによって交感神経が刺激されると、体が緊張状態になり、筋肉が凝り固まりやすくなります。一時的であれば問題ありませんが、ストレスが慢性化すると僧帽筋の劣化および硬化が進み、僧帽筋が盛り上がる原因となるため、注意が必要です。
冷え
冷えを感じると筋肉が緊張し、張りやコリが悪化する要因となります。特に寒い時期は、無意識に体を丸めたり、肩を縮こめたりする姿勢を取りやすく、僧帽筋への負担が大きくなりがちです。
また、寒さ対策で厚着をし過ぎると体の動きが制限されてしまい、首や肩、背中を満足に動かせなくなった結果、コリや張りが増長されることもあります。
骨盤のゆがみ
人の体は骨格と筋肉によってバランスを保っていますが、その軸となるのが背骨と骨盤です。背骨は横から見ると緩いS字カーブを描いており、上半身の重みを前後に分散させることによって特定の筋肉に負荷がかからないようになっています。
ところが、妊娠や出産、悪姿勢、運動不足などによって骨盤にゆがみが生じると、骨盤とつながった背骨にまで悪影響が及びます。背骨のゆがみは、その周辺にある僧帽筋や腹横筋、大臀筋などさまざまな筋肉のバランスを崩し、張りやコリ、盛り上がりなどを引き起こす原因と言えるでしょう。
僧帽筋が盛り上がることによるデメリット
僧帽筋が盛り上がると、以下のようなデメリットやリスクが生じるおそれがあります。
肩こりや首痛が起こりやすくなる
僧帽筋が盛り上がっていることは、筋肉が硬く強ばっている証拠です。僧帽筋が凝り固まっていると、首や肩、背中まわりに違和感や痛み、張りなどが生じやすくなります。
盛り上がりや張りがひどくなると、首や肩、背中の可動域が狭くなり、首が回らない、肩が上がらないなど、日常生活に支障を来す可能性も否めません。可動域の制限によって上半身を動かさなくなると、ますます筋肉のコリ・張りがひどくなり、悪循環に陥るおそれがあります。
また、僧帽筋が盛り上がった状態で急に首を回したり、上半身をひねったりすると、筋を痛めてケガをするリスクにも注意が必要です。
猫背・巻き肩が悪化する
僧帽筋が盛り上がると、肩甲骨を寄せる動作がしづらくなり、自然と猫背や巻き肩の姿勢を取るようになってしまいます。前述のとおり、猫背や巻き肩は僧帽筋の緊張を招く要因となるため、僧帽筋が盛り上がる→姿勢が悪化する→さらに僧帽筋の張りがひどくなる、という負のサイクルに陥りがちです。
また、猫背や巻き肩は筋肉に負担を掛けるだけでなく、ボディラインが崩れて見た目が悪くなる原因にもなります。
体調不良
僧帽筋が凝り固まって首の後ろや後頭部が緊張すると、頭部に走る神経が刺激されて緊張型頭痛を発症する原因となります。頭痛がひどくなると吐き気やめまいなどの症状を誘発することもあり、人によっては日常生活に支障を来す可能性もあるでしょう。
自律神経の乱れ
自律神経とは、呼吸や体温、血圧、消化・代謝などの生命活動を司る神経のことです。自律神経は交感神経と副交感神経という2つの神経によって構成されており、健康な状態では両者のバランスが取れています。
体の筋肉は、自立神経と深く関係しており、僧帽筋が常に緊張した状態になると、自律神経のバランスが乱れ、頭痛や冷え、便秘といった諸症状につながるおそれがあります。
首が太く、短く見える
僧帽筋が盛り上がると、肩の位置が通常よりも高くなるため、首が太く、短く見えてしまいがちです。首が短くなることは、相対的に顔が大きく見えるようになったり、首回りがもたついてどっしりと重い印象を与えたりする要因となります。
さらに首回りが変化することで、タートルネックや細めのネックレスが似合わなくなるなど、ファッションにも影響が出るかもしれません。
バストが垂れたように見える
バストを支えている筋肉は、胸の前面に広がる扇形をした大胸筋という筋肉です。しかし、僧帽筋の盛り上がりからくる猫背や巻き肩が慢性化すると、大胸筋が弛緩し、筋肉が衰えてきます。
女性の場合、僧帽筋の盛り上がりによって大胸筋が衰えるとバストの位置が下がり、全体的に垂れた印象を与えてしまいます。バストだけでなく、その上のデコルテに張りがなくなったり、鎖骨が目立ったりするようになり、胸元が老け見えする要因にもなりかねません。
また、大胸筋は肩関節の曲げ伸ばしや内外転、呼吸の補助といった役割を担っているため、筋肉が衰えると腕を前後左右上下に動かしにくくなったり、呼吸が浅くなったりするリスクもあります。
僧帽筋の盛り上がりを改善するメリット
僧帽筋の盛り上がりを改善することで期待できるメリットは、以下のようなものです。
姿勢が良くなる
僧帽筋の盛り上がりを改善すると、首の後ろから肩、背中にかけての緊張や強ばりが解消されるため、良い姿勢を取りやすくなります。猫背や巻き肩が矯正されると、僧帽筋の盛り上がりの再発防止にもなるため、一石二鳥です。
また、姿勢が良くなるとボディラインも美しくなり、きれいな立ち姿をキープできるようになります。
肩こり、腰痛などの解消
僧帽筋の張りが緩むと、首や肩、背中まわりの血流が改善されるため、肩こりや腰痛といった痛み・違和感が軽減されます。同時に、首や肩、背中の動きもスムーズになり、日常生活や運動時にストレスを感じにくくなるでしょう。
体調不良の解消
僧帽筋への負荷が軽減されると、ストレスや自律神経の乱れによる体調不良の予防につながります。頭痛や吐き気、めまい、冷えなど、日常生活に支障を来す症状が軽減されるため、仕事やプライベートでアクティブに活動できるようになります。
顔・首回りがスッキリする
僧帽筋の盛り上がりの改善によって、首を細く、長く見せるることが可能です。
すると、顔の輪郭との境目が明確になり、小顔効果を期待できます。
また、僧帽筋の盛り上がり解消によって猫背や巻き肩が矯正されると、大胸筋の緩みもなくなり、胸まわりに張りが戻っています。デコルテに寄ったシワやたるみが解消されれば、スッキリとした胸元をキープできるようになるでしょう。
自分で僧帽筋の盛り上がりをなくす方法
僧帽筋の盛り上がりは、セルフケアで改善することが可能です。ここでは、自分で僧帽筋の盛り上がりを解消する方法を6つご紹介します。
ストレッチをする
僧帽筋の盛り上がりは筋肉のコリや張りが原因なので、ストレッチをして硬くなった筋肉をほぐす方法が有効です。僧帽筋の盛り上がり解消に効果的なストレッチは複数ありますが、ここでは代表的な方法を4つご紹介します。
腕回しストレッチ
1. 顔の前で左右の腕を肘から手首までぴたりとくっつける。
2. その状態のまま腕を上げ、肘で円を描くことをイメージしながら、外回しに両腕をゆっくりと7回、回す。
3. 同じ要領で内回しを7回行う。
壁ストレッチ
1. 右手を上に真っ直ぐ伸ばし、壁に手のひらをつける。その際、右足は一歩前に出す。
2. 右膝を軽く曲げながら、体を前に押し出し、そのまま10秒間キープする。手のひらの位置がずれないように注意。
3. 1~2の要領で左腕、左足も同様にストレッチする。
キャットアンドカウ
1. 床に四つん這いになり、手首は肩の真下、膝は腰の真下に来るよう位置を調整する。
2. 息を吐きながら背中を丸める。頭はおへそを覗き込むように内側に向ける。
3. 息を吸いながら、肩甲骨を寄せると同時に背骨をそらし、頭とお尻を天井に向ける。これを8回1セット行う。
赤ちゃんポーズ
1. 仰向けになり、両膝を両腕で抱える。
2. 息を吐きながら体を丸める。頭は浮かせ、おへそを覗き込むように内側へ向ける。
3. 息を吸いながら、体を開くように手足を遠くに伸ばす。2~3の動きを3回繰り返す。
筋力トレーニングをする
僧帽筋が衰えると血流が悪くなり、盛り上がりや張りの原因となります。ストレッチで筋肉の強ばりをほぐすだけでなく、筋力トレーニングを併用して鍛えれば、盛り上がりの予防・改善に役立ちます。
以下で紹介する3つのトレーニングメニューで僧帽筋を鍛えましょう。
バック・エクステンション
1. うつ伏せになり、両手を前または横に伸ばす。
2. 腕ごと上体をゆっくり起こし、顎を上げる。
3. 無理のない高さまで上げたら、ゆっくり元の姿勢に戻す。
4. 2~3を10回繰り返す。
リバースプランク
1. 仰向けに横になり、肘を立てて上半身を持ち上げる。
2. 両足を伸ばし、かかとで支えながら下半身を持ち上げる。
3. 体が一直線になった状態で30秒~1分キープする。
4. ゆっくり姿勢を戻し、1~3を2、3セット行う。
デクラインプッシュアップ
1. 腕立て伏せをする体勢になり、両足を台や椅子などの上に載せる。
2. 手は肩幅程度に広げ、地面に顔がつくところまで上半身を下ろす。
3. 元の位置に戻る。
4. 2~3の動作を無理のない範囲で繰り返す。
歩き方を見直す
僧帽筋は肩甲骨や腕の動きと連動しているため、歩行時の腕の振り方を見直せば僧帽筋のコリや張りの解消につながります。
ポイントは、腕を前に振るのではなく、後ろに引くこと。前方向への振りは、腕を後ろに引いた反動で自然に前に戻るくらいの感覚で問題ありません。
腕を後ろに引くと肩甲骨が寄せられ、間にある僧帽筋を効率良く動かすことができます。
マッサージする
僧帽筋が盛り上がった部分をマッサージすれば、筋肉の強ばりを緩和することが可能です。僧帽筋のマッサージ方法には、自分で行う方法と、他の人にやってもらう方法の2通りがあります。
自分でマッサージする方法
1. 右脇の下に左手の人さし指から小指までの四本の指を差し込む。親指は胸側の脇につける。
2. 脇の下から胸にかけての筋肉を掴むようにして10秒ほど揉みほぐす。
3. 右腕を上げ、四本の指を背中側の脇に移動させる。親指は二の腕の内側あたりに添える。
4. 四本の指で背面の筋肉を掴むようにして10秒間もみほぐす。
5. 1~4と同じ要領で左側のマッサージを行う。
他の人にマッサージしてもらう方法
1. 横向きに寝た人(受け手)の背中側に回り、肩甲骨の内側に親指を置く。
2. 受け手が心地良いと思うくらいの強さでゆっくり指を押し込み、10秒間キープする。
3. 少し指をずらし、肩甲骨のラインに沿うようにマッサージを繰り返す。
正しい姿勢をキープする
猫背や巻き肩の人は、正しい姿勢をキープすることが僧帽筋の盛り上がり改善につながります。猫背や巻き肩になっているかどうか判断できない場合は、壁を背にして立ち、かかと・お尻・肩・後頭部・ふくらはぎを順番につけていきましょう。
このとき、腰と壁の間に手のひら一枚分くらいの隙間が空くのがベストです。
いずれか一点でも壁につかない場合は、猫背または巻き肩になっている可能性があるので、5点すべてが壁につく姿勢をキープできるようにしましょう。
また、日常生活では姿勢を悪くする癖や動作をなるべくなくすことが大切です。例えば、洗面台で顔を洗うときは背中を丸めたりせず、軽く膝を曲げて背中を脚の付け根から倒すようにすると猫背予防になります。
他にも、壁にもたれて立つ、足を組むといった動作は骨盤や背骨をゆがめる原因になるので、癖になっている方は意識的になくすよう心掛けましょう。
僧帽筋を温める
僧帽筋の緊張をほぐすには、患部を温める方法も有効です。僧帽筋を温める方法には入浴と、温熱シートなどのグッズを使う方法の2通りがあります。
入浴はなるべく湯船に浸かるようにすると、僧帽筋を含む全身の筋肉がほぐれ、強ばりを解消できます。どうしても時間がなくてシャワーのみになってしまう場合は、首の付け根あたりに少し熱めのシャワーをしばらく掛け続けましょう。
また、日中に僧帽筋を温めたい場合は、温熱シートや蒸しタオルなどを当てる方法がおすすめです。温熱シートの場合は、僧帽筋に沿うようにシートを貼ると効果的に筋肉を温められます。
自分で僧帽筋の盛り上がりをケアする場合の注意点
自分で僧帽筋の盛り上がりをなくす方法を実践する場合の注意点を説明します。
ストレッチは気持ち良い程度に留める
僧帽筋の盛り上がりは、筋肉がかなり凝り固まっていることの証拠です。強ばっている筋肉をいきなり無理に動かそうとすると、筋繊維を傷めてしまい、ケガにつながる可能性があります。
ケガをするとコリだけでなく、炎症による痛みも加わって症状が悪化するおそれがあるので、ストレッチを行うときは決して無理をせず、気持ち良い程度に留めておきましょう。
ストレッチの回数もいきなり多くするのではなく、体が慣れてから徐々に増やしていった方が体への負荷を軽減できます。
コリと炎症の違いに注意
僧帽筋に過度な負担がかかると、僧帽筋膜炎と呼ばれる炎症が起こることがあります。僧帽筋膜炎の症状は首や肩の張り、動かしたときの疼痛などで、僧帽筋のコリと見分けがつかないケースがほとんとです。
筋肉が炎症を起こしている場合、無理に動かしたり、患部を温めたりするとかえって症状が悪化する可能性があります。コリか炎症かの見極め方は、温めたときに痛みが和らぐか増すかどうかです。患部を温めてみて、痛みが和らぐようならコリ、痛みが増す、あるいは症状が変わらない場合は炎症と判断できます。
ただ、自己判断でセルフケアを続けると症状が改善しなかったり、逆に悪化したりするリスクがあるので、なかなか痛みや違和感が解消されない場合は専門家に診てもらうことをおすすめします。
専門家による僧帽筋の盛り上がりをなくす方法
セルフケアだけで僧帽筋の盛り上がりが改善できない場合は、専門家に特殊なケアを行ってもらうことを検討しましょう。
ここでは専門家による僧帽筋の盛り上がりをなくす方法を5つご紹介します。
電気治療
EMSを用いて筋肉に微弱な電流刺激を与え、コリや強ばりをほぐす治療法です。EMSとはElectrical Muscle Stimulationの略称で、直訳すると電気的筋肉刺激装置と言います。
人の筋肉は脳から発せられるパルスという電気信号によって動きますが、EMSはこのパルスを意図的に送ることで、体を動かさなくても筋肉を強制的に動かせる仕組みになっています。EMSの特徴は局所にパッドを当てることで、狙った筋肉を効率よく動かせるところです。
治療を受ける側は、体を動かす必要はなく、首や肩、背中などにパッドを当てて寝ているだけで僧帽筋を運動させることができます。EMSを用いた治療では、全身運動する必要がなく、気になるところを集中的にケアできるところが利点ですが、手軽だからとやり過ぎると筋肉へのダメージが大きくなり、痛めてしまうことがあるので要注意です。
EMSには家庭向けもありますが、業務用に比べて低周波なので、あまり深部まで信号を届けることができません。クリニックなどで用いられているEMSは高周波に対応しているため、より効率的に僧帽筋の盛り上がりを解消したいのなら専門家による電気治療を受けた方がよいでしょう。
一方、高周波EMSは効果が高いぶん、治療を受けるタイミングや時間に十分な配慮が必要ですが、クリニックで治療を受ければ専門家が適切な方法でケアしてくれるので、菌損傷などのリスクも抑えられます。
鍼灸治療
鍼灸治療とは、疾患や症状に対応したツボ(経穴)に、鍼と呼ばれる金属製の細い針を刺したり、艾(もぐさ)を置いて燃焼させたりして刺激を加える治療法のことです。
経穴には人体に元々備わっている治癒力を高めるはたらきがあるとされており、血液循環を改善して肩こりや腰痛を緩和したり、免疫力を向上させたりする効果が期待できます。僧帽筋に適したツボに鍼または灸を用いた治療を行えば、盛り上がりや張り、コリなどの症状を改善することが可能です。
また、鍼灸には自律神経を整える作用もあるため、僧帽筋の盛り上がりから来る自律神経の乱れに悩んでいる方に適した方法となります。
ただ、施術の性質上、気胸や内出血、火傷などのトラブルが起こるリスクはゼロではありません。安全性や効果は鍼灸師の技量や経験に左右されるため、信頼できる鍼灸院を探す必要があります。
薬物療法
僧帽筋の盛り上がりに有用な薬物を投与して治療する方法です。使用する薬物は患者さんの症状や状態、クリニックなどによって異なりますが、一般的にプラセンタやビタミンなどを投与するケースが多いようです。
プラセンタとは、ヒトや豚、馬などの動物の胎盤から抽出下エキスのことで、アミノ酸やビタミン、ミネラル、酵素、成長因子などさまざまな成分が含まれているのが特徴です。
プラセンタを僧帽筋に注入すると、血行促進作用によって筋肉のコリが緩和され、盛り上がりの改善を期待できます。投与スケジュールは、週1回の投与を1~2カ月続けた後、2~4週間に1回のペースで継続的に投与するケースが一例として挙げられます。プラセンタは皮下注射または筋肉注射で投与しますが、後者の場合、若干痛みが強い可能性があることに注意が必要です。
一方のビタミン注射は、筋肉に蓄積した疲労物質の代謝を促進するビタミンB1を注入する方法が一般的です。ビタミンB1は食べ物やサプリメントなどから摂取することも可能ですが、静脈注射した方が直接血管内に栄養分を送り届けられるため、よりすばやく、かつ高い効果を見込めます。
運動療法
理学療法士や柔道整復師といった専門家が、僧帽筋の盛り上がり改善に有効な運動方法を個別指導する方法です。僧帽筋が盛り上がっている原因に合わせて、一人一人に合ったリハビリテーション計画を作成し、最適な運動療法を提案してくれます。
患者さんが自発的に行えるストレッチはもちろん、専門家が行う筋膜リリースや関節モビライゼーションといった特別な治療法を受けられるところが特徴です。自宅でストレッチをしたけれどあまり効果がない、あるいは無理をして筋肉を痛めてしまったという経験がある方は、専門家による運動療法を受けて適切な運動の仕方をレクチャーしてもらうことで、有用なセルフケアを続けられるようになります。
ボトックス注射
ボトックスとは、ボツリヌス菌から抽出したボツリヌストキシンという毒素成分を原料とした薬剤のことです。ボツリヌス菌には筋弛緩作用があり、ボトックス注射した部分の筋肉をリラックスさせ、コリや張りを緩和することができます。
毒素を原料にした、と聞くと良いイメージは浮かばないかもしれませんが、ボトックスは毒素を分解・精製して作られた天然たんぱく質なので、安全に使用可能です。実際、一部のボトックス製剤は厚生労働省から認可を受けており、美容分野や整形外科分野で広く使用されています。
ボトックス注射の効果には個人差がありますが、速ければ数日ほどで僧帽筋の盛り上がりが緩和されます。マッサージやストレッチなどに比べると即効性の高い施術なので、僧帽筋の盛り上がりをすぐに解消したい方に適した方法です。
専門家による僧帽筋の盛り上がり治療を受ける際の注意点
専門家による治療で僧帽筋の盛り上がりを改善したい場合に気をつけるべきポイントを2つご紹介します。
定期的に施術を受ける必要がある
専門家による治療法はセルフケアよりも即効性が高く、短時間で効果を実感できるところが利点です。
しかし、プラセンタやビタミン注射にしろ、ボトックス注射にしろ、効果は恒久的なものではなく、一定の期間が経過すると元の状態に戻ってしまいます。
もちろん、セルフケアを併用して僧帽筋のコリや張りを予防すれば盛り上がりを防止できますが、長時間デスクワークしている方や姿勢が悪い方は治療に長い時間を要します。
治療の効果を持続させたい場合は、専門家の指導に基づき、定期的に施術を受けた方がよいでしょう。
痛みや副作用がある
注射療法や鍼灸などの治療法では、施術中に痛みを覚える可能性があります。
特に筋肉注射は皮下注射より痛みが強いので、痛みに弱い方や刺激が不安な方は、事前に専門家に相談しましょう。クリニックによっては麻酔の使用などに対応してくれるところもあります。
また、施術後は患部に腫れや赤みなどの症状が現れることもあります。ほとんどの場合は一時的なもので、時間の経過と共に徐々に収まりますが、数日経っても症状が続いている場合や、赤みや腫れなどが悪化した場合は、すぐに施術を受けたクリニックを受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
僧帽筋の盛り上がりをしっかり改善し、かつその状態をキープするには定期的に施術を受ける必要があります。
僧帽筋の悩みは専門家に相談しよう!
同じ姿勢を長く続けていたり、運動不足やストレスが慢性化したりすると、僧帽筋が凝り固まって盛り上がってしまうことがあります。
僧帽筋が盛り上がりは、首が太く短く見えたり、女性の場合バストが垂れたりするなど、見た目が悪くなる要因以外にも、肩こりや首痛の発生、姿勢の悪化、自律神経の乱れなど、体調不良を引き起こす要因にもなります。
自宅でストレッチや筋トレ、マッサージを行ったり、患部を温めたりすることで緩和することが可能ですが、短期間で改善したい場合や、セルフケアだけで解消されない場合は専門家の治療を検討した方がよいでしょう。
専門家による治療には、電気治療や鍼灸治療、運動療法、薬物療法、ボトックス注射などがあります。それぞれ特徴が異なるので、美容外科などの専門家に相談の上、自分に合った方法で治療を続けることをおすすめします。
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